是が非でも理が非でも否が応でも

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ここは現実じゃない 戻るには死ぬしかない
◆映画とか観てきましたのよ。『借り暮らしのアリエッティ』と『インセプション』。

アリエッティ、小人たちの暮らしぶりが実にセンスオブワンダーしておりました。序盤はかなり見てて楽しいですね。
何が良いってお父さんかっこよすぎ。蟲使いみたいな頭巾しやがってからに。
ボビン滑車とか両面テープ登坂とか、ごく普通の民家にああした異世界を仕込む手法って素敵だと思います。小人たちの視点で物語が進むのでそうした世界観が魅力的というか、目新しく感じられますね。そりゃ原典はありますし、小人の視点で世界を捉えるってネタ自体は一昔前の子供向けアニメなんかだと結構あったのでしょうが。ガンバとか。
にしても、あの世界観には十分な魅力を感じさせられました。やっぱ非日常の日常って素敵。

ただおはなしの部分でも少し人物を詳しく描いて欲しかった気はします。だってなんかメインキャラであるところのアリエッティと翔が、お互いにとってどんな存在でどんな変化をもたらしたのかいまいちわかんないんだもの。
翔くんが心臓病で生きることに後ろ向きってのはわかるのですけれど、それがなんでアリエッティと出会って前向きになるのか、結構脳内保管が必要な感はなきにしも。
単に守りたい欲求が満たされたから、なんじゃろか?
あくまでもアリエッティが主役ってことなのでしょうし、翔くんの心境の変化はオマケ程度ではあるのでしょうがー。なんか設定とか心境の変化とか、結構とってつけたような感じだけはちと気になります。

でもそのアリエッティに関しても、小人たちにとって人間がなんなのか、アリエッティにとっての翔って何だったのん?っていう。
そのへんがあんまり詳しく描かれないのが個人的にはちょっと物足りませんでした。でも作品の雰囲気や絵柄や美術みたいな見た目の部分は相当好きです。



インセプション、こちらは当たりでした。劇場で観て良かったと思える程度には。
夢の世界の映像はスクリーンで観る価値十分にあると思いますのよ。映像として目新しくそれだけで十分楽しめますし。特に最下層の崩れ行く世界がもう中二マインドを刺激してやまない。

夢の世界の階層構造を使った、それぞれの階層で段階的に全く別のアクション・ストーリーが展開していく構成は目から鱗でございました。
加えて潜在意識に潜る、ってことで映像として主人公の内面や過去の罪を掘り下げていて自分に良し。内面の弱さ、罪の意識が顕在化した妻の影とかもうキュンキュン。

自分の罪の意識との戦いとか夢と現実のどちらが真実とかいうテーマ、個人的に非常に好みです。

俯瞰すれば劇中で直面する問題ほとんど主人公の罪の意識の投影だったりして、かなり独りよがりな戦いだったりもするのですけれど、こうした「ここではないどこかへ」願望を扱った作品は大好物なのですよ。ラストシーンのあの微妙な曖昧さ、実にたまりません。


| 映画 | 22:00 | comments(0) | trackbacks(0) |
ゲット スマート
評価:
---
ワーナー・ホーム・ビデオ
¥ 1,569
(2009-08-05)

JUGEMテーマ:コメディ映画全般


最近テレビをつけたら映画とおねがい!ランキングしか観てない!
地上波アニメを観なくなって一般的なオタクとしてのアイデンティティが保てなくなりつつある!どうしよう!

まぁそんな独りよがりな同一性なぞクソの役にも立ちゃしねえぞっと。



映画観たら観っぱなしというのも勿体無い話なので、また映画日記など。
今宵はゲットスマート。
映画館でバイトしてた頃によく予告編がやっており、つい気になって手にとってしまった映画。


あらすじWIKI丸コピペ。

マックスウェル・スマート(スティーブ・カレル)は米国の秘密諜報機関“コントロール”で分析官として働いていた。地味なイメージの内勤ではなく、花形である現場エージェントとして活躍することを願い、テストにも合格。ところが上司(アラン・アーキン)にはその優れた分析能力を重要視されて、内勤を続けるよう命じられる。
そんな時、“コントロール”の本部が国際犯罪組織“カオス”の襲撃を受け、現場エージェント全員の個人情報が奪われてしまう。分析官の身分であるため情報が無事だった彼は急遽エージェント86となり、整形手術を受けたばかりで同じく”カオス”に顔が知られていないエージェント99(アン・ハサウェイ)と組んで、”カオス”を追うことになる。


……筋書きはよくあるアレです。「テロ組織が核使うぞヤベェ」なスパイアクションをコメディにしたもの。
まぁストーリーはお約束でにんともかんともですが、合間合間のいかにもアメリカ映画っぽいジョークのセンスは素敵な作品でありました。
「やるわね新人」「君もな年増」なんて一度はやってみたいやりとりですね。
他にも「新型のペースメーカーで受けて立とう」とか「アドレナリンをホルモンと勘違いしてるわよ」とかいい感じ。

それとホチキスを相手の額に叩きつけて書類留めるヤツは自分の中の「一度はやってみたい映画のアクションリスト」に追加です。


家庭の事情を慰められて懐柔される殺し屋とか核爆弾を知らない大統領とか地下でイエローケーキ処理してるパン工場とかそこで黄色いケーキ食ってる作業員とか、中々笑える映画でありました。


また脇役が妙に気になる映画でもありました。
ひたすら樹の中に居るだけの悲しい連絡員がビル・マーレイだったり……ゴーストバスターズのベンクマンじゃねーかよ!いやいいけどさ。

脇役のオタク二人がいい味出してるなぁ、と思ったらそいつら主役でVシネ作られてやんの。アジア系のほうがどっかで見たことあるなぁ、と思ったらHEROESにも出てるマシ・オカだった。
調べてみたら四ヶ国語を解し数学とコンピュータサイエンスと舞台芸術に造詣が深くお笑いとジョジョを愛するオタクでIQ180で挙句ギフテッドとかもうね、自分の内に眠る中二スピリットを刺激してやまない。惚れそう。
| 映画 | 01:48 | comments(0) | trackbacks(0) |
とーめーにんげーん

評価:
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ソニー・ピクチャーズエンタテイメント
¥ 1,250
(2001-04-27)

いや地上波でなんとなく観ただけなんだけど、びっくりするほど面白い馬鹿映画だったので思わず書いちゃう。


主人公が透明人間になれる薬を開発→しかし戻れなくなる→もうヤケだ!好き放題ヤッチャウヨ!
というお話。

「もしも透明人間になれたら」を見事に踏襲してて、こんな低俗な主人公は中々いません。
斬新です。
何せ仲間の乳揉むわ隣人のお姉ちゃんを×××するわ人殺すわ、劇中一切こいつに正義はありません。
ゲスです。
ゴミカスです。
ハリウッド映画に飽きた人にオススメです。


最終的にただのモンスター映画の化物に成り下がる主人公ってどうなのよ。
しかも焼かれようが感電しようが爆発に巻き込まれようが生きてるって。
透明人間になっただけだろアンタ。
「研究所を封鎖して秘密を知ってる仲間の研究員を皆殺しにするよ!」とかお前なんてエイリアン? むしろプレデターか見えないし。




しかしながら、この映画最大の見所はむしろヒロインにあります。
主人公に負けず劣らず、いやむしろ主人公を圧倒するまでのゲスっぷりと強靭さはいっそ清清しい。
このヒロイン、主人公の恋人なんですが普通に同僚の研究員と浮気してます。しかもそれで主人公に辛く当たって、それで主人公がキレたら悪びれる様子もなく殺しにかかります。
最高ですねクソビッチ。


しかもこのビッチさん無駄に知恵と勇気に溢れてます。

閉じ込められてもその場にあったもので電磁石作って脱出するし、腹に穴の開いた間男もガムテープ一つで治療しちゃうし。
どうみてもヒーロー。
あとセリフが無駄に超カッコイイ。


「本物の神に会わせてあげるわ!」


で火炎放射器で元カレを焼く!スゲェ容赦なく焼きまくる!そのうえスライディングで閉じるエレベーターを押さえて追い討ちを!

しかも色々あって主人公とキスしつつも背後で自分だけ命綱握って


「地獄に墜ちろッッッ!」

と主人公を炎の海に叩き込むッ!



つええ!ビッチつええ!
てーかヒロインのセリフじゃねえええ!


もう笑いが止まりませんでした。


あと、「インビジブル」というタイトルですが最終的に主人公は皮膚だけ透けた人体模型と化します。
ビジュアル的には貧相なイムホーテーップ。ビジブルさんと命名。
で、その際股間にボカシが入るんですね。

最後までインビジブルだったのは股間だけかよ!

| 映画 | 23:51 | comments(0) | trackbacks(0) |
トランスフォーマー
評価:
---
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
¥ 1,800
(2008-07-04)
なんか映画日記ばっかになってきた。
だって書きやすいんじゃもんよー。

でトランスフォーマー。正直「私にいい考えがある!」とビーストウォーズの子安ゴリラのイメージしかなかったんだけど滅茶苦茶面白かった。
ロボ最高。巨大ロボって何でこんなにオトコノコゴコロをくすぐりやがりますか?
まぁどこでも言われてることだけれど、映像美がとにかく凄まじい。やはりアメリカ映画はこういう金と人と技術をつぎこんだお祭り映画が素晴らしいやね。ストーリー二の次だけど。

お話:悪い奴が宝物ねらってる! いくぞサイバトロン出動だ!

それだけ。まぁこの映画は戦闘シーンと変形シーンだけでもう十分です。全身がチマチマワキワキガシャコンガシャコンしてるの見るだけで楽しい。
戦闘シーンもね、巨大ロボが街中で戦ったら……っつう嘘を見事に派手にカッコ良く描けていてなんかもう観てて興奮のあまり変な笑い出る。

ハリウッドがこの映像美でガンダム作ってくれてらなぁ……そしたらリュウさんが黒人でもシャアが二重アゴでも許すよ割とマジで。
ああGセイバーお前は座ってろ。

でもやっぱむこうとこっちじゃロボへのアプローチの仕方にギャップ感じるよなぁ。
ロボットを兵器としてではなく一つの生命体としてとらえてるっつーか人間臭いっつーか。
何かと口をつけて喋らせたがるよね。コンボイにしてもキャプテンガンダムにしても。
だからなんかロボットってよりモンスター映画の化物に見えちゃう。
やっぱ乗り込むタイプだと非合理性に違和感感じちゃうのかね。GセイバーでMSにつばぜり合いさせてくれ、って日本人スタッフが言ったら
「いや銃で撃ちあったほうが現実的だろ」って向こうのスタッフに返されたとか何とか。

もう!トランスフォーマーだと逆に殴り合いっつーか泥臭い肉弾戦ばっかやってるくせにさ!

この技術で兵器としての巨大ロボを描いてくれたら完璧なんだが。


あと大尉カッコよすぎる。冒頭から壮絶なほど死亡フラグを立てまくってた上に最後には生身で敵の股下にスティンガー撃ち込むしなおかつ生き残るし。シローアマダ顔負け。
| 映画 | 01:27 | comments(0) | trackbacks(0) |
28日後... (特別編)
評価:
---
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
¥ 1,340
(2008-04-16)
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うそぉん。ああもう少し気分が減退するとすぐこれだ。毎日更新とか無理だな性格的に。というわけでこれからも気が向いたときにしか更新されないであろうことは自明。
しかしジュゲムは親切だねぇ。

で、なんとなくショッキングな映画観たくなったんで画像の映画を観る。

ゾンビ大ハッスル!既存のゾンビ像じゃ語れないようなポジティブなゾンビにトキメキ!
な感じの映画でした。
いや正確にはゾンビじゃないけどさ。

ストーリー:全身黒づくめの特殊工作員みたいな動物愛護団体が妙なウイルスキャリアなチンパンを
「かわいそう! ワタシたちがアナタを助けてアゲルワ! ワタシたち超正義!」
→バイオハザード。

人間の凶暴性だけを引き出して限界Battle!させてくれる素敵なウイルスは、感染したら数秒で発病して理性が吹っ飛び全力疾走ゾンビになってしまうという恐ろしい代物。
んで、主人公が眠りからさめると、ロンドンの街はゴーストタウンと化していて……みたいな。

ゾンビ映画ってよりサバイバルアクション映画って感じでした。あんまりスプラッターしてなくて助かった。
ゾンビのポジティブでアグレッシブすぎる動きが魅力ですな、主人公サイドの無力っぷりと相まって
「ヤベェこいつ絶対死ぬ死ぬ死ぬ死ぬほら死んだァー!もう嫌ァー!」
な感じが味わえます。

とりあえずマチェットで感染した仲間をスパスパザコザコ切り殺すヒロインというのは中々斬新でした。ていうかまだその人意識あるのに!やめてやめて腕切り落とすのマジやめて!
つえー山刀まじつえー……超怖い。

あとこのテの映画って軍人さんよく出てくるけど、これに出てくる連中はほんとクズ。そこは少し引いた。
しかし本当に恐ろしいのはバケモノではなく人間なのだ……的な演出なのはわかるけどさー……。
でも確かに最後の主人公のランボーっぷりはウイルスはだしの凶暴性を感じたり。ていうか主人公もヒロインも殺人に躊躇なさすぎだよ!
人ひとり殺した直後にキスとかすんなよ!
そんだけ仲間を守りたかった、てのもあるのかもしれないけどさ。

でも最後の「HELL」が「HELLO」になる演出は好きですよ。
なんかエンディングが複数あるらしいけど、やっぱ何かしらの救いはあって欲しいしな。
後味悪くても意味のあるエンディングならまだしも、観た後に胸糞悪くなるだけのエンディングなんて製作者の自慰行為でしかないと思うわけですよ。『ノイズ』、てめーのことだ。

でもなんだかんだで臨場感あって面白かったですね。こういう映画は「もし自分だったら」妄想を思わずしちまいます。
とりあえず高級ライダースーツとヘルメットで血液感染対策!
ホームセンターで武器調達!斧とかマチェットとか草刈り機とかチェーンソーとか!
そんでなんか襲われてる少女とか助けたりしてね!
二人で協力して生き延びようとするけどラスト、助手席で女の子がちょっと咳とかしてなんか嫌な感じで終わりそう!

あれ?妄想なのに救い無くね?
| 映画 | 13:56 | comments(0) | trackbacks(0) |
トゥモロー・ワールド
評価:
P.D.ジェイムズ
ポニーキャニオン
¥ 2,380
(2007-03-21)
何故自分はこの映画を劇場で観なかったのか……ッ!

思わず文字を大にしちゃうくらい良い映画でした。ああもう言葉が足りない筆舌に尽くしがたい。
良いなんて言葉じゃ語りつくせません。もうなんていうか……赫々たる傑作ですマジで。ベタ褒めしちゃう。
「……みたいに無条件で誉めそやすのもなんか素人臭いし悪いところも指摘しておこうかなー」的な通ぶりたい人間(含む自分)がよくするクソつまらん思考も出てこないくらいに傑作です。

何がすごいってね、もう……もう!ああもう思考をそのまま最適な言語に翻訳してくれるマシーンを誰か一刻も早く開発してくださいしろ!


と、いうわけでトゥモロー・ワールド。どうでもいいけど原題のChildren of Menのがいいよ絶対……。
これを観てつまらないとか面白くないとか言う人とは絶対に良好な関係を築けない。それくらい自分の嗜好にクリティカルヒットしました。


近未来、人類は生殖能力を失っていた。世界の秩序は崩壊し、子供のいない世界は緩やかに滅びつつあった。
そんな折、主人公セオはかつての妻であるテロリスト、ジュリアンから不法入国者の少女キーのために通行証を手に入れて欲しい、と告げられ、やがてセオはキーと、彼女が抱える秘密を巡る陰謀に巻き込まれていく……ってな感じ。




以下しっかりがっつりネタバレ御免。これから少しでも観ようと思う人は読まないでお願い。この映画は白紙の状態で観たほうが絶対に面白いから。
















まず何より緊迫感と臨場感が最高に素晴らしい。特に最後の戦闘シーンは個人的にはプライベート・ライアンの冒頭20分を超えてます。
随所で言われていることですが、この映画は長回しを非常にうまく使っています。それも一切だれることなく、次から次へと流れるように展開する衝撃的なシーンが一切カット無し。ラスト八分間の長回しによる戦闘シーンは戦争映画裸足。
まぁ技法的なことはともかく、ここまで緊迫感のある映像を観たのは初めてです。


またこの映画、生と死の対比構造がえらいうまい。
観てて怖くなるくらい次から次へと人が死んでいきます。それもスプラッタホラーとかのにぎやかしの死でなく、いかにもありそうに、あっけなく、ばたばたと、救いも努力の甲斐もなく。
死者の多くはキーとその赤ん坊を守ろうとして死んでいくんです。セオとキーに協力した人間はほぼ全員が。

囚人護送車の中で、助産婦の中年女性が陣痛で叫んでしまうキーをかばうために狂人を装い、結果車を降ろされ頭に黒い布を被せられ――そこでバスは発進してしまい彼女は見えなくなったり、とか。

後半になると特にそれが顕著で、軍とテロリストの戦いの中、なにか観てるだけで感覚が麻痺するくらいにあっさり人間が撃たれる倒れる吹き飛ぶ千切れる。事ここにいたっては無関係の人間だろうと容赦なし。特に長回しで場面に引き込まれるせいもあってその場から逃げ出したいとさえ思います。
というか、生きてることが軽く虚しくなります。
本当に怖いです。いつでも死ぬ恐怖というか、いつ誰にどうして殺されるのかもわからないまま死ぬ恐怖というか。

生命の尊さ?人間の尊厳?
キレイゴト?アコガレ?ナニ?誰かが笑ってます。

と、まぁこうもあっさりと量産される死を強く印象付けておいて、しかし一方最も根本的な命――赤ん坊を描くのですよ。この映画は。
劇中戦闘シーンと同等かそれ以上に緊迫感をもって映されるのがキーの出産のシーン。
暗い部屋、激しく響く犬の咆哮、キーの悲鳴、セオの励まし――ああもう、この臨場感文章で書けるか畜生。


ラストの戦闘シーンが凄まじく象徴的です。テロリストと軍の銃撃戦のさなか、キーに抱えられ泣き声をあげる赤ん坊――しかしその声は銃声にかき消され、テロリストや無関係の住民達は次々死んでいく。

セオがキーを抱え、キーが赤ん坊を抱えて歩いていくと、スラムの住人たちが銃撃におびえながらも祝福するように赤ん坊に触れていく。追われたテロリストも銃を構えるが、赤ん坊を見て銃を降ろす。
ついで現われた虐殺者――軍人達も赤ん坊を見て「銃を降ろせ」と号令。
武装した兵士達の中を赤ん坊とキーとセオが通り過ぎる。兵士達は胸で十字を切る。
今度は赤ん坊の泣き声が銃声を鎮めていく。
そうして、その瞬間だけは、兵士もテロリストも戦闘を停止する――と。

感動です。ええはい。自分は何はばかることなくこの映画に感動したと言えます。

め、滅多にないんだからねこんなこと!か、勘違いしないでよね!別に皮肉とかじゃなく本当なんだから!


久々に素晴らしい主人公像を見た。主人公セオは武器も特殊能力も無く、軍人でもなければ格闘技の達人でもありません。それでもキーと、その身に宿す赤ん坊を守るために奮戦するセオ。
かつてセオは最愛の息子ディランを失っています。
言葉にしてしまうと陳腐すぎて死にたくなりますが、この物語における弱者を守る存在であるセオはガチでヒーローであり、父性の象徴のように感じます。
劇中、協力者達が死ぬたびにセオは「大丈夫だ」とキーに嘘をついてます。そしてラストシーン、撃たれて今にも死にそうなセオはまたキーに「大丈夫だ」と。

そうして、「何があっても赤ん坊を放すな」と語るセオは最後に赤ん坊にげっぷをさせる方法をキーに教えます。キーは子供の名前をディランにする、と。
微笑むセオ。
そのまま崩れ落ちる。
キーは迎えの船が来たと必至でセオに呼びかけますが、セオは最早応えません。


うわ、もう最高に格好良いじゃないかこのおっさん。
颯爽と敵を倒すわけでもなく。スタイリッシュに跳ね回るわけでもなく。
せいぜい車を押したり車椅子を押したりげっぷを出させたり。劇中での活躍といえばそんな地味なもの。
が、ここまで格好よく見える映画なんてそれだけでも十分です。


映画としての迫力、物語としての意味性。それらが強く結びついた傑作。
痛切で切実で焼け付くような、強い力を持った映画だと思います。

自分の中の映画ヒエラルキー最上位。これは本当に良いものだ。愛しちゃう。
| 映画 | 03:30 | comments(0) | trackbacks(0) |
二キータ
評価:
---
パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン
¥ 1,349
(2006-11-02)
ニキータっつってもアレじゃねえからな。艶女と書いてアデージョとか読ませたり「コムスメ」とかいって若さを罵倒したりするアレな雑誌のことじゃないからな。



というわけでリュック・ベッソンの出世作「ニキータ」。
「レオン」があんまりにも好き過ぎる余波で手を出しましたとさ。

警官殺しの罪で無期懲役を言い渡された少女が生きるために政府の暗殺者になる、というお話。序盤のストーリー展開や場面展開のメリハリとか、構成が楽しくてつい引き込まれてしまう映画でありました。
何がいいって中盤でニキータの上司兼保護者役のボブなるオッサンが、過酷な暗殺者の訓練のさなかにニキータを食事に誘うのですよ。その日はニキータの誕生日でした。ニキータにボブはプレゼントを渡し、苦労をねぎらいます。今までろくでもない人生を送ってきたニキータはいたく感激するわけですよ。
満面の笑顔でニキータがプレゼントの包みを開ける。
と。
そこには一丁の拳銃。
「後ろの男がターゲットだ」

……もう、ね。この粒の立て方は最高ですね。このあと初仕事を終えたニキータがボロボロになって隠れ家に帰るシーンとかもな。
ドブ水すすってヤクやって辛うじて生きてきたニキータがようやくの幸せを掴む――けれどその幸せは暗殺者という仕事無しには得られないものであって、だからその幸せはひどく儚いものだ、と。
レオンにも通じるものがありますわな。
この場面展開の緩急のつけ方は珠玉だと思うよマジで。



物語の終わらせ方について。
どこまで描ききるのか、という問題はその作品の出来を大きく左右してしまうものなんじゃなかろうか。

例えばニキータが暗殺者から完全に足を洗い、幸せな家庭を築いているラストシーン。
なんだか、ありふれたハッピーエンドになってしまうわな。

例えばニキータが組織に追われて、どこかの路傍でゴミみたいに殺されるラストシーン。
これまた、そう面白いものでもないわな。

両極端な例ではありますが。かつ描き方次第ではこれでも面白く見せることは出来るんでしょうが。
結末をあえて書かず、視聴者の想像に任せるエンディングというのもアリだな、と思いますですよ。正直、実際に視聴者に提示されるハッピーエンドよりも想像の中のハッピーエンドの方が何倍も美しいと思うわけで。

マクガフィンも似たようなものだぁね。謎は解明されないから面白い、とゆーアレ。
そういえば以前「クローバーフィールド」を観たけれど、あれもHAKAISHAたんの正体がわかっちゃったら面白くないんだろうな、と。
或いは「世にも奇妙な物語」のズンドコベロンチョ、とかもな。
エヴァンゲリオンも全てをきちんと語ってたらあれだけ流行ったかどうか。
こういう技法もあるもんですね。勉強になるですわ。

要は、物語ってのは全部お膳立てされるよりも多少の妄想の余地があったほうが面白い、ということかね。



あと今気づいたけどニキータのオッサン向けバージョンの名前って「レオン」じゃん!
……中年がみっともなくもモテようとする雑誌にそんな名前付けないでよ主婦の生活社!
あやまれ!リュック・ベッソンにあやまれ!
| 映画 | 01:20 | comments(0) | trackbacks(0) |
300<スリーハンドレッド>特別版(2枚組)
評価:
ジェラルド・バトラー.レナ・ヘディー .デイビッド・ウェナム.ドミニク・ウェスト.ビンセント・リーガン,ザック・スナイダー
ワーナー・ホーム・ビデオ
¥ 2,945
(2007-09-26)
筋肉と槍と血の映画。

スゲェ暴力映画。もう槍が貫くわ脚が千切れるわ首が飛ぶわ。心臓の弱い人にはオススメできない。

ストーリ:スパルタの兵士300人が大軍と戦う

本気でこれだけの内容ですが、凄まじい戦闘の暴力表現や殺陣の美しさだけでも見る価値はあります。
もうね、パンツ一丁筋肉オヤヂ×300がここまでかっこよく思えるなんて中々ない経験ですよ。みんなムキムキ腹筋バキバキ。

槍衾と矢の雨に身を晒すくせに半裸!
着てるの盾と兜とマントとパンツだけ!
武器も槍と短剣しか持ってねぇの!
弓とか一切無し!
でももの凄まじく格好いい!
己の肉体そのものが武器みたいな!

そんな獰猛なオッサンたちが勝ち目の無い戦いに勇猛果敢に突入していくわけですよ。素晴らしいですね。燃えますね。キュンキュンしちゃいますね。

もう全編暴力の嵐。バイオレンスをもって貴しとなす的な。
何せもうほんと、スパルタ人は次から次へと殺しまくります。
敵の体から槍が生える生える。たぶん全体の三分の一くらいは血しぶきが飛んでます。

最近はCG技術の進歩もあって大軍同士のド派手な肉弾戦を描けるようになりましたが、これはちょっと趣が違って戦士一人の殺陣を非常にメリハリつけてテンポ良く画にしてます。
最初のほうはもうほとんどリアル無双乱舞。
半裸のオヤヂが果てしなくスタイリッシュに見えるのはたぶんこのせい。てーかこの映画で見るべきはそれ以外にないかと。


筋肉と獰猛な心と暴力と血と栄誉と死。男のどうしようもなく馬鹿な部分を刺激してくれるステキな映画です。戦闘シーンの派手さだけでお腹いっぱいになれる。

こうした、剣と槍の戦争が観れるのは良い時代になったと思います。

あとアジアニンジャとかトロルとかサイとか鉄砲(てつはう)とかエレファンダーとか両手ハサミ男とか出てきたときはどうしようかと。縮尺がほとんど北斗の拳な勢い。面白いからいいけど。
| 映画 | 02:55 | comments(0) | trackbacks(0) |
硫黄島からの手紙
評価:
渡辺謙,二宮和也,伊原剛志,加瀬亮,中村獅童,裕木奈江,クリント・イーストウッド,スティーブン・スピルバーグ,アイリス・ヤマシタ
ワーナー・ホーム・ビデオ
¥ 1,349
(2007-12-07)
世間様が騒ぐものはそれが収まってから手に取るっつー悪い癖があります。今更シンドロームと名づけよう、多勢に流されたくない矮小な自意識から来る中二病的症状ですな

『硫黄島からの手紙』観ました。

戦争アレルギーの日本ではこういう映画ってあまり作られないんですよね…なんか、お涙頂戴のヒューマンドラマになることが多い。反面主観に囚われずにそれら情景を描くこの映画の作りの巧妙さは洋画ならではだと思います。情感たっぷりな物語としてではなく、ただ事実として描かれる死には言葉を超えた説得力があるように感じます。手榴弾自決のシーンが引き・切り替え無しで撮られていたこととか。
日本人がこれを創れなかったことにやるせなさを感じたりもしますが。


とりあえず戦争映画は最高だ。と書くと人格を疑われかねませんが、自分は戦争映画が好きです。何故ってそこには容赦の無い死と生が描かれてるから。
プライベート・ライアンの冒頭二十分なんかもそうですが、あまりに無力にバタバタと人が死んで行きます。
なんでこんな陰惨な話とか好きなんだろうな、と自分でも不思議に思うわ。


現代に生きてる自分らがときにフィクションの中に死を求めるのは、それが身の回りにほとんど無いからだと思うのですよ。
汚いもの、嫌なものを忌避する思考として、死ってのは実生活から遠ざけられますよね。
リアリティのある死に触れる機会がほとんど無いこの生活が不幸であるとは思いませんし、容赦の無い死をみることが幸福だなどとは決して思いませんが。

けれど、死の重みを知ることはすなわち生の重みを知ることでもあると思います。

生が軽いが故に死もまた軽い、とか何とか。

だから、フィクションで死を補充する。死が見たいのではなく、それを通した生を見たいのだと思うわけで。

当然こいつは映画です。いくら史実を元に作られてるとはいえ、物語としてバイアスかけられてるのは事実だわな。


でも、だからこそ作品の中には生の理想像が描かれていると思うのですよ。
容赦の無い死が目前に迫った状況で、それでもどう生きようとするのか、みたいな。
ま、ようは戦争映画はいいもんだってことですな。


あと、靖国で知った西連隊長があまりにカッコ良すぎたので調べてみたら

・華族
・男爵
・オリンピック馬術競技金メダリスト
・日独防共協定のために勝ちを相手に譲る(憶測)
・バロン西と呼ばれ社交界で大人気
・育ちのよさが災いした変人で才能あるのに左遷されまくり
・『馬術のバロン西、出てきなさい。世界は君を失うにはあまりにも惜しい』と降伏勧告(後付の美談かもだが)
・死に様が謎に包まれてる

……何だこの厨性能。
| 映画 | 02:59 | comments(0) | trackbacks(0) |



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